今晩のショーを観たことを、一生自慢したい!
そう思えるほど、最高のショーだった。
だって、ノッケからバンドの勢いが違った。1曲目のイントロでいきなり長渕剛をはじめ、フロントのピーター、ジョン、ichiro、昼田がステージ出べそまで躍り出てオーディエンスを煽り始めた!
そして、ローレンのキーボードと長渕のハープとのバトルだ。長渕がローレンに近づいたかと思うと、いきなりしゃがみこんだ。そしてローレンも! 彼は手元を見ないで、ノールックで長渕とのバトルを楽しんでいる。ステージ左右にある2台のビジョンにローレンの手元が映し出された時のオーディエンスの溜め息とも歓声ともつかない声が会場を揺らす。そこにベースのジョンも加わる。めちゃくちゃ楽しい。
長渕は立ち上がると、ドラムスの矢野に拳を突き出した。矢野は大きく吠えた。激しいドラミングで矢野はさらに応える。
グルーヴ全開だ!!
「愛がいっぱいなんだよな。こんなステージ他にないもんな」
長渕が名古屋のオーディエンスに感謝を込めて語りかける。
オーディエンスからは歓声、口笛、拍手が乱れ飛ぶ。
と、そこに長渕が即興の歌で応える。
これがまた、すげえいい曲なんだ!
もう笑いと涙とドキドキが止まらない。
感情のジェットコースターに乗って、どこまで行くのかわからない!
オールタイム・ベストのツアーだが、もはやそんなことどうでもよい。長渕の強靭な肉体が火を吹いていく。隆起した背中をグイッと曲の合間に魅せてとオーディエンスは悲鳴を上げ応える。日本では観たことないロックショーだ。二十代のやつらが拳をあげて、叫びまくっている。とにかく、すげえー!!
誰に感想を訊いても、一言目に「すごい!」って言う。
みんな目を輝かせて、そう言う。
「俺たちの心のど真ん中に火を点けて欲しかったんだよ、長渕!!」
他に何をやったって動かなかった石みたいな心が、ゴロゴロと音を立てて転がりはじめる。
そう、まさに目の前のロックンロール・バンドみたいに――。
長渕がバンドを率いて、本ステージから突き出たランウェイステージを小粋なステップを踏みながら闊歩している。
音に合わせて、全員でポーズをとっていく。
今夜、名古屋で、長渕剛と彼のロックンロール・バンドのショーを観たことを一生忘れない。
その感動は、ダイレクトに激しく僕たちを突き動かし、明日が来るのが待ち遠しくて仕方ない。
(この原稿を書いている今は、夜中の3時37分。ちっとも眠くない! 『俺の太陽』をリピートしながら朝陽を引きずり出してやろう)