2014年9月21日日曜日

9.20 ゼビオアリーナ仙台 LIVE REPORT

ツアー最終公演、仙台ゼビオアリーナ。
最後の最後のダブル・アンコールで、長渕は「乾杯」のイントロを弾き始めた。
今回のツアーで最初にして唯一、ここ、宮城の地で歌われた。
満場のオーディエンス、そして舞台袖のバンドメンバーとスタッフが、
あと僅かで訪れる別れを惜しむかのように、両手を大きく広げて左右に揺らす。
東北ならではの優しさに満ち溢れた空間が広がる。
それは、不思議な感覚だが、すごく合点のいく景色だった。
仙台、宮城、そして東北だから。
僕は、2011年の松島基地で見たことを重ね合わせていた。
「歌なんか歌っている場合じゃないんじゃないか」…そう突っ伏していた長渕はギター一本握りしめて、
まだ混乱の治まらない宮城に飛び込んだ。
そして、過酷な環境で頑張る若き自衛隊員たちに感謝と激励の意を込めて、
共に歌い、叫び、泣き、拳をあげた。そこで確かめたこと、掴んだことは、確かにあった。
一方で、その後走り続ければ走り続けるほどに感じた怒り、焦燥感、無力感は募るばかりだった。
それらの一切合財が今の長渕を突き動かすエネルギーになっている。
だからこそ長渕は、来年の8月、富士山麓に立つと腹を決めた。
そして、10万人動員、オールナイト・ライヴと、さらなる試練を自らに課すのだ。
富士の東側には自衛隊の広大な演習場がひろがっている。今にも雨が落ちてきそうな暗い曇天だ。
遠くに稲妻が光っている。祭りの候補地を探して走りまわっていた長渕の視界に入ってきたのは、
陸上自衛隊の演習で砲弾が富士山に着弾する様子だ。
それはまるで父、そして母のような富士のどてっぱらに撃ちこまれるかのようだ。
そこに居合わせた若い隊員に長渕が訊いた。「万が一戦争が起きたら、いち早く参戦したいかい?」と。
彼は戸惑うことなく、「いえ、戦争は起きてほしくありません」と答えた。そしてさらに続けた。
「広さが足りないので実際の射程距離では撃てません。
僕たちは有事に備えてそんな訓練しかできないんです」…矛盾だらけの構造。
国を守るという大切な任務を遂行するために行なう、決して完全ではない訓練。
一方、世界文化遺産である富士山に容赦なく撃ちこまれる砲弾。
いつ起こるとも知れない有事に備えて、ひたすら名峰・富士がえぐられていく。
長渕は「痛いなぁ」とつぶやいた。
車をぐるりとまわして訪れた西富士は、金色色の太陽が、青々とした草原を輝かせていた。
鳥の声、虫の音が穏やかに鳴る。まるで両の手を広げて「おいで」と語りかけるかのように、富士山が横たわっていた。
「ここから10万人で、歌の矢を富士へ放とう!」長渕が即断した。
最終日のこの日、僕は長渕の許しを得て、客席の真ん中で参戦することができた。
思いっきり拳を振り上げ、歌いまくり、叫んだ。でも一方で、今日で終わってしまうこと、
目の前にある瞬間が二度と訪れないことを噛みしめていた。
最後は涙が止まらないんじゃないか、でもそれはそれでいい、と思っていた。ところが…。
「Myself」を聴いている時にはそんなセンチメンタルな感傷は消えていた。
今見えているこの景色から、11か月後の富士の空へ向かう旅が始まるんだ、そんな決意に満ちてきたのだ。
長渕はリハーサルでスタッフに語りかけた。「終わりは始まりだ」と。そう、新たな旅が始まった。
10万人の仲間たちと見上げる富士の空は、いったいどんなだろうか?

                                                                                                    ユニバーサル ミュージック 稲村新山

2014年9月13日土曜日

9.12 大阪市中央体育館 LIVE REPORT

著書・長渕語録の中で「声には、粒子があって、それが心に付着するんだよ。」と綴られているが大阪二日目はまさにそんなライヴだった。
絶叫を超越した野獣の咆哮を思わせる魂のシャウトを連発しながら打楽器のようにギターをシバキ上げる。
コブシを突き挙げて自分を鼓舞し続けなければ怖くなるほどの鬼気迫る迫力
かと思えば繊細なアルペジオに深みのある剛さんの優しい歌声が程よくブレンドされるとたちまち空間を支配し、僕たちの心の奥底に響いて溜まっていく。
ステージに固定されたマイクスタンドを時にはトレーニング器具のように
時には妖艶なポールダンスみたいに扱う動きにざわめきと歓声が挙がる。
「今日は大阪に来たんじゃない!『大阪に帰って』きたぞ!!」
オーディエンスの心を一瞬で鷲掴みにするMCと豪華なセットリストに場内のテンションは常にレッドゾーン。
今回海外から召集された3人のメンバーがバンドにもたらした、陽気で楽しい雰囲気とレベルの高い演奏技術を剛さんがエンターティメントに昇華させて僕らに届けてくれる。
アンコールも終盤、LEDに映し出された溶岩と照明によって会場が赤くなり
「桜島」のイントロが流れだす。
剛さんは後ろを向き両手をガッツポーズで広げた。
タンクトップからこぼれそうな鍛え上げられた広背筋が真ん中に集まり隆起する。
その様は、まるで噴火した溶岩が冷えてできた桜島の火口付近みたいだなあと思った。
あの伝説の桜島オールナイトからもう10年。
今回の「ALL TIME BEST」のアルバムジャケットでも剛さんは背中を向けていた。
どんなに向かい風だろうが、どんなに道が険しかろうが常に先頭に立って僕らにカッコイイ背中を見せ続けてくれている剛さん。
来年の夏には10万人が集うライヴが決定した。鹿児島の次は・・・?
コブシを挙げながら大きくてカッコイイ背中を追いかけよう!!
FM OSAKA  DJ  下埜正太

2014年9月12日金曜日

9.11 大阪市中央体育館 LIVE REPORT


9月になって走り抜けた武道館、福岡マリンメッセを、圧倒的に凌駕するであろう大阪のエネルギーは開演、30分前からツヨシコールが鳴り響く怒濤のスタートとなった。
会場割れんばかりに主役を待ちわびている。
この日、満員の10,000人で膨れ上がった大阪市中央体育館は今年5月のフルコンで登壇したものの長渕の長きライヴツアーの中でも、初めての場所である。
ーー大阪ーー
かつて、長渕剛と言う新人がデビューして間もない頃、前座で30分と言う時間が与えられた。髪の長い 若き青年はひたすら唄った。
誰も名前を知らない、誰も歌を知らない、そんな頃の事。緊張の余り、弦が切れても ひたすら歌う長渕に初めてアンコールの声が騰がった…それが大阪フェスティバルホール、長渕22歳の時。
その時から大阪は心の中で大切な…大切な場所だと、長渕は言う。
場内アナウンスが流れ、オーディエンスのボルテージが最高潮に達した時、バンドメンバーに続き長渕は、さっそうと登場した!
墨黒のジャケットに深紅のパンツ、首には花柄の黒いスカーフを巻き、ステージ横の階段を一気に駆け上がったかと思うと高々と手を挙げ、サングラスから微笑みが、こぼれる! 怒濤のような歓声がスタジアムに轟く!
と、同時に三年ぶりに復帰した矢野一成のバスドラが腹にズシンと、そして、うなるような音を叩き出す!
今ツアー、『オールタイムベスト』のオープニングに選ばれた「泣いてチンピラ」
ステージ上の長渕は、とびきり軽快なステップを踏む。
ダンディズム漂うジャケットに隠された身体は一曲目よりムチのように、しなる。
 1988年、1月、後に伝説となるライヴツアー「STAY DREAM 」
黒い皮のコートに身を包み、大阪城ホール中央に設置された円形ステージに30歳の長渕剛は気負う事 無くたった一人、ギターを携えて登場した。それは全くの自然体で。
自分を取り巻く人間関係に傷付き、音楽の方向性に疑問を感じ、
自らの原点に立ち返って挑んだ ライヴツアー!
 高らかに、そして孤高の、叫びとして
みんなの前で歌い上げた「STAY DREAM」
その時をこの目で目撃している一人として…
まさにそれから27年の時を越え、今、ロスから3人の強力なミュージシャンを迎え、今夜、この同じ大阪の地に凛と立つ58歳の長渕剛を見て、歴史の重さ、そしてこの上ない本物の唄の裏側にある繊細なまでの優しさと覚悟を痛いほど感じる。
それは命を賭するから。
ずっと命を懸けてきたから。
楽屋に一冊のノートがある。
長渕が98年、トレーニング開始以来毎日、記している日誌だ。
日々のトレーニングメニューはもちろん、摂った食事の内容も微細に書き込まれる。
 長渕の「食」に対するこだわりや知識は身体を作る上で必要不可欠と、なった。
その日の行動、思い、反省、怒り!
大学ノートに細かな字でびっしりと、書き記されている。
そしてそこに必ず書かれていた言葉…
「てめえら、見てろよ!」
長渕は16年の歳月を掛け、肉体を強靭な精神力で変貌させた。
その間、付けた日誌は40冊強にものぼる。
何がそこまで彼を追い詰め、何がそこまで駆り立てたのだろうか。
「意地だよ!!負けん気かな!俺は『悔しさ』が染み付いて生きてきたからね! 」
彼は  さらりとそう言い…放つ。
しかしその思いはさらり等と言う言葉では表現出来ないほどの覚悟と執念に満ちたものなのだ。
その覚悟と執念こそが、デビューからの37年!
 いや、初めてギターを手にした中学三年の時から43年!
それは色褪せることなく、さらに年を重ねるごとに輝きを増し、長渕を鼓舞させ、支え続けているのだと思う。
「明日をくだせえ」
飽食と平和のド真ん中にどっぷり居座る日本の横っ腹に世界を揺るがす震災が起きた。
ステージ後方に設置された自身初となる大型LEDから日本が抱える新聞記事の闇が写し出される。
天井から5枚の短冊のようなLEDが降下し  強烈な言霊が  そこに叩きつけられる。
″魂の爆弾″が投下される。
長渕がジャケットを脱ぐ!
躍動する肉体!飛び散る汗!唸る喉!
この動きを見るに付け長渕剛は一体何歳なのだろうと錯覚を起こす。
キーボードのローレンとはピアノとブルースハープの攻防!
その交互のセッションは、さながらアスリートの闘いのようだ!
いくら強靭な肉体、精神力と言えど、肉体への負荷は やはり強烈であろう。
『勝ち続ける』と決めなければきつすぎる。でも『勝っている、気がしないんだ!』と長渕は言う…
それこそが日々の進化を遂げる長渕剛の強さなのかも知れない。
「順子」
ichiro氏と、ピーターのスタジアム中に響くツインリードギターの恐ろしく美しい共演! 競演! 拍手が沸き起こる!
そして間髪入れず、ジョンのベースがボン!ボン!ボン!と、的確に!そして力強く! 重低音で心を揺さぶる!
新しい姿でよみがえった「順子」。度肝を抜く。
たった一人の弾き語りが続く。
「なんか涙が出そうでヤバかった!
こんな愛に満ち満ちたステージは見たことないよ。嬉しいよ。」とポツリと語る。
「青春」からのアップテンポ4作連打は、この会場の熱気が人の心を溶かし強烈な連帯を生む。
地響きが起こる。気がつくと無数のシャボン玉が皆の夢を乗せて会場に揺れた。
アンコール。
真っ赤に燃え上がる炎が写し出され「桜島」が燃えたぎる!
長渕もオーディエンスも両手を左右に揺さぶりそれは炎の如く…マグマの如く…あの日のように″1つ″になる!!
ライヴは生き物だ。生きているという感覚を何度も味わった。会場が1つになり大きくうねる。10,000人が1つになり、うねりの波が岩にぶち当たる!
75,000人を動員した世紀の祭典「桜島オールナイトコンサート」から丸10年。あの地に立ち、桜島の後方より昇り立つ朝日を見た者は何を感じ、何に奮い立ち、何を目標に掲げ、あの地を去っただろうか。
まさに、長渕が命を懸けた″桜島″はそれぞれの人間の可能性を再確認する旅であり、その扉を開ける日となった事だろう。
己れの可能性という導火線に火を付け、突き進んだ者にとっての10年はあっと言う間に感じる日々だったであろう!
ステージ上の長渕が叫ぶ!
「あの日の情熱はまだ心の中にあるかーー!!
まだ心の中で燃えたぎっているかーー!!」
喉が潰れるまでに力の限り長渕は叫んだ!
まもなく発表すると言う…桜島をも凌駕する10万人オールナイトライヴ! 見据える長渕の、瞳にははっきりとその姿は写し出されているのだろう。
『勝った気がしないんだ!』
『てめえら   見てろよ!』
その言葉に秘めた最強伝説が2015年、まもなく生まれようとしている。
 最後の曲、「Myself」が静かに流れる。
長渕の伝えたいこと。
それは真っ直ぐ、真っ直ぐ生きろ!と、言うこと。
誰しも哀しみを抱えて生きている。
喉がヒリヒリするほどの渇きを抱えて生きている。
だから生きる勇気が欲しい。
揺さぶられ続けた感情が人間の純粋さを取り戻す。
涙が出る。
硬質な音楽魂が本当に造る物…それは優しさだ。
2時間半のライヴは静寂に包まれたMyselfで幕を閉じた。
この唄を唄い斬った後に見せる、ぐるりとオーディエンスを見詰める長渕の厳しい顔が好きだ。
命を削り、全身全霊で挑んだ長渕が、崇高な香りを放つ瞬間である。
会場に降り注ぐ七色の光がオーディエンスの涙を金色に変えていくように思えた。
フイナーレ。
リードギター、ピーターが高らかに両手を挙げて走り上がり、満面の笑みを浮かべたジョンがハイタッチを交わす、ローレンはステップを踏んでこのライヴの役者ぶりを発揮する。Ichiro氏。昼田氏。コーラスの女性たち。
そして、彼らの手を高々と挙げる長渕。
いつまでも惜しみ無い拍手が続いた。
 吹き出す汗をぬぐいながら長渕は微笑む。
オーディエンスが力の限り突き上げた拳はスタジアムの天井を突き抜け、空からは愛と勇気が舞い降りる。
「今日、みんなで作った″命″を明日の力にかえろよ!」
長渕の声が聞こえてきたような気がした!
流した涙はきっと明日の力と変わるのではないだろうか。
長渕剛が全身全霊で伝えたこと。
それは限りない優しさ。
 人の努力に対して人は拍手を送る。
その努力は人が必ず覚えている。
いつしかそれはプライドに代わる。
今回、ニューヨークから参加している音楽プロデューサー、デニスが言った。
「こういう素晴らしいチームは素晴らしいリーダー無しでは生まれない」
それこそが長渕の努力の先に見えるプライドなのだろう。
我々に出来ること。
それはその命を削りながら闘い続けているプライドを守りきること。
 それを改めてはっきりと確信した夜だった…。

2014年9月8日月曜日

9.7 マリンメッセ福岡 LIVE REPORT




☆Happy 58th Birthday☆

凄まじかった!!
第二のHome town、福岡での Birthday LIVE!!

1年に一度しかない、いや、一生に一度しかない、このBirthday LIVE!
福岡マリンメッセには全国から1万2千人のファンが集まった!

Birthday songの合唱から始まり、ステージ上に現れた長渕剛。
今日はいつになく、優しい笑顔で登場した。

素晴らしいバンドメンバーや、音響、照明ももちろんだけれど、
今回の長渕剛のファッションがたまらなく素敵だ。

さりげないジャケットにスワロを施し、その鍛え上げられた肉体に沿うように、柔らかくフィットする黒いドッド柄のシャツ、デニムデザイナーの青木さんと幾度も話し合いを重ね制作した、鮮烈な赤のスキニーパンツ。
そして、花柄のストール。

なんて色っぽいの!
世界中を回り、美しいとされるものを見続けてきたけれど、こんなにセクシーな人は見たことがない。

”ファッションとは、絢爛豪華な衣装を纏う前に、まずは自分の肉体がどうであるか、それが1番大切である”
ということを何かの本で読んだことがあるが、長渕剛はまさしくそれだ。
隆起した筋肉群と、放射状に走る血管。強くてしなやかで、キレのある独特な動き、この肉体こそが、毎日の努力による積み重ねであることを私は知っている。
そしてまたその肉体からかもし出すエネルギーが、世界を動かすことも知っている。

長渕剛の衣装へのこだわりは、ファッションに携わる私でさえも驚くほど。
印象に残るのは、あのSAMURAIのアルバムで着ている、赤い陣羽織。
あれは、知覧特攻平和館に飾ってある陣羽織を再現したもの、その陣羽織の下には、あの西郷さんが着ていたような、軍服を纏っている。
いったいどんな思いが込められているのだろうか…
しかし、その答えは歌にあった。
VERSACEのベストをわざと洗濯機で洗い、乾燥機にかけてウォッシュ加工に仕上げたものを着ていた時もあった。
そんな事をする人がどこにいるだろうか…


LIVE直前の40分のウォーミングアップトレーニングを終え、パンプアップした肉体が背中で息をしている。
すでに一点を見つめて、誰をも近づけないオーラを発している。

私はふいにつぶやいてしまった。
「…超かっこいい。」


「俺にとってね、衣装というものは鎧と一緒なんだよ。だから自分の納得いくものを、一つ一つ丁寧に身に付けていくんだ。 くつ下だってそうだよ。一つでも狂ったらダメなんだ。」

そう言いながら、最後はブーツの紐を入念に結び上げていく。

長渕剛は、戦場へ向かう侍と化した。
もう誰も近づけない。

SAINT LAURENT、GUCCI、Roberto Cavalli、Dolce&Gabbana、など世界の一流ブランドをサラリと着こなす長渕剛がいたとしても、彼は殆どそのようなものを纏わない。
なぜならば、一流ブランドと言われるデザイナーの思想的な背景は、彼が求めるほど、純粋ではないからだ。
モデルの私はそんな彼の感性をリスペクトしている。

それにしても今夜の2時間28分のShowは、本当にオシャレでセクシーだった!!

冨永愛

2014年9月4日木曜日

9.3 日本武道館 LIVE REPORT

日本武道館、二日目。
アリーナとステージは音楽を通じて、ひとつの渦になった。

「心・技・体」
鍛え抜かれた、長渕剛の修錬の極みが空間とオーディエンスを指揮する。
アコースティックギターの3フィンガー、ブルースハープで魅了したかと思えば、
「これでもか!」と、のどの奥から、心の奥から叫びを引き出しロックンロールで心を解放する。
そして、魂のバラードが流れる。
心に染み込むその「詩魂」は、身体に吸収され、明日を一歩踏み出す力となる。

われわれは、このステージに立ち続ける為に、真っすぐ生き続ける為に、
長渕剛が己と戦い続ける日々の努力を知っている。
限界を超えてなお唄い叫ぶからこそ、オーディエンスは魅了される。
己の限界を超えたエネルギーを引き出される。
そして、明日へ踏み出す力に変わる!

日本武道館は、とても小さく感じられた。
長渕剛とファンが作り上げてきた絆のアーチが武道館の国旗の下に見えた。
新たな挑戦が声高らかに宣言され、2015年夏への扉が開かれた!
そこには、希望しか見えない!!

未来は待ってくれない。
こうしている間にも、長渕剛は一歩未来へと歩き始めている。

ユニバーサルミュージック
A&Rディレクター 服部 恒


 

2014年9月3日水曜日

9.2 日本武道館 LIVE REPORT



超満員の武道館。武道館で聴く剛さんなんて、格別の贅沢だと思う。

ドラムスの激しいビートで「泣いてチンピラ」。早くも2曲目で「勇次」。今回ことのほか胸に迫ったのが、「明日をくだせえ」と「シェリー」だった。

今の日本。本当に明日が見えない。夢が見つからない。この拳を突き上げるエネルギーは、どこに向かうのだろうか。助け合う愛と共存に向かうのか。それとも牙を剥いてヘイトと敵対に向かうのか。剛さんの強さとカリスマが試される時代になって行くのだろう。

即興の「愛してる」から、「おお、シェリー」と歌い出す、しびれるような声に、思わず涙腺がゆるむ。男の声で「剛!ありがとうーっ!!」という絶叫が聞こえてくる。

およそ25年の間、剛さんを武道館で聴いてきた。よくもここまで、見事に生き切って来てくれたと思うエネルギーの深さ、大きさ。それは進化とか成長といったちっぽけな言葉では表わせない、剛さんの壮絶とも言える生きざまの凄味であり滋味だと思う。だからこそいっそう、汗とも涙とも見えるしたたりに、濡れて光る笑顔が優しかった。

 

湯川れい子