超満員の武道館。武道館で聴く剛さんなんて、格別の贅沢だと思う。
ドラムスの激しいビートで「泣いてチンピラ」。早くも2曲目で「勇次」。今回ことのほか胸に迫ったのが、「明日をくだせえ」と「シェリー」だった。
今の日本。本当に明日が見えない。夢が見つからない。この拳を突き上げるエネルギーは、どこに向かうのだろうか。助け合う愛と共存に向かうのか。それとも牙を剥いてヘイトと敵対に向かうのか。剛さんの強さとカリスマが試される時代になって行くのだろう。
即興の「愛してる」から、「おお、シェリー」と歌い出す、しびれるような声に、思わず涙腺がゆるむ。男の声で「剛!ありがとうーっ!!」という絶叫が聞こえてくる。
およそ25年の間、剛さんを武道館で聴いてきた。よくもここまで、見事に生き切って来てくれたと思うエネルギーの深さ、大きさ。それは進化とか成長といったちっぽけな言葉では表わせない、剛さんの壮絶とも言える生きざまの凄味であり滋味だと思う。だからこそいっそう、汗とも涙とも見えるしたたりに、濡れて光る笑顔が優しかった。
湯川れい子